2016年 12月 04日
To be or not to be |
この間、会社経営をしている40代の人と話してたんですよね。
◯◯さんには今欲しいものがあるのか。住む家やお金があって、仕事で成功するってどういう感じなのか。それは自己肯定感ですごく満たされることなのではないか、と聞いたら、
私は自己肯定感なんてそんな気持ちもう忘れてしまった。歳をとるとだんだんそういう感覚は薄れていく。その代わりに今は自分の仕事をもっと深めたい、家族をもって大切な人との時間を過ごしたい、とその人は言っていた。
職場の女性が、思春期の頃は自分のことばかり考えて苦しかったが、結婚して子供ができたことで自分について考えることが殆どなくなり、それは良いことだったと話していたことを思い出した。
スーザン・ソンタグ『良心の領界』の序文に、若い読者へのアドバイスというのがあって、以下のような一節がある。
「自分自身について、あるいは自分が欲すること、必要とすること、失望していることについて考えるのは、なるべくしないこと。自分についてはまったく、また、少なくとももてる時間のうち半分は、考えないこと。」
「傾注すること。注意を向ける、それがすべての核心です。眼前にあることをできるかぎり自分のなかに取り込むこと。そして、自分に課された何らかの義務のしんどさに負け、みずからの生を狭めてはなりません。傾注は生命力です。それはあなたと他者とをつなぐものです。それはあなたを生き生きとさせます。いつまでも生き生きとしてください。」
「良心の領界を守ってください……。」で締めくくられるソンタグのこの一節を読むと、雨宮まみさんを思い出してしまう。まみさんは目の前の世界と同時に、自己の存在や意識を深く掘り下げて書いた人だった。しかし、あまりに自己をつきつめすぎると死が近くなるんじゃないかとも思った。
まみさんが松井冬子さんについて書いたこのブログが好きだった。美人という職業

ホテルでアフタヌーンティーをしながら友達と話していた。
「もし時間があってお金があって、何も不自由なくて、毎日アフタヌーンティーできる生活が手に入ったらどう思う?退屈で仕方がなくないかな。」
「うーん、今の私がそうなったら、、嬉しくて仕方ないかもしれない。」
「軽井沢には、そういう人たくさんいそうだよね。私思ったけど、人のお金や人の持ち物でいい生活ができたとしても、自分の飢えた心は満たされないと思う。」
「たまたま、なんとなくそういう生活が手に入ってしまった人は、退屈で仕方なくなるかもしれない。でも、努力して、例えば戦略的に玉の輿に乗ってそういう生活を手に入れた人にとっては、それは自尊心を満たすことになるかもしれない。」
◯◯さんには今欲しいものがあるのか。住む家やお金があって、仕事で成功するってどういう感じなのか。それは自己肯定感ですごく満たされることなのではないか、と聞いたら、
私は自己肯定感なんてそんな気持ちもう忘れてしまった。歳をとるとだんだんそういう感覚は薄れていく。その代わりに今は自分の仕事をもっと深めたい、家族をもって大切な人との時間を過ごしたい、とその人は言っていた。
職場の女性が、思春期の頃は自分のことばかり考えて苦しかったが、結婚して子供ができたことで自分について考えることが殆どなくなり、それは良いことだったと話していたことを思い出した。
スーザン・ソンタグ『良心の領界』の序文に、若い読者へのアドバイスというのがあって、以下のような一節がある。
「自分自身について、あるいは自分が欲すること、必要とすること、失望していることについて考えるのは、なるべくしないこと。自分についてはまったく、また、少なくとももてる時間のうち半分は、考えないこと。」
「傾注すること。注意を向ける、それがすべての核心です。眼前にあることをできるかぎり自分のなかに取り込むこと。そして、自分に課された何らかの義務のしんどさに負け、みずからの生を狭めてはなりません。傾注は生命力です。それはあなたと他者とをつなぐものです。それはあなたを生き生きとさせます。いつまでも生き生きとしてください。」
「良心の領界を守ってください……。」で締めくくられるソンタグのこの一節を読むと、雨宮まみさんを思い出してしまう。まみさんは目の前の世界と同時に、自己の存在や意識を深く掘り下げて書いた人だった。しかし、あまりに自己をつきつめすぎると死が近くなるんじゃないかとも思った。
まみさんが松井冬子さんについて書いたこのブログが好きだった。美人という職業

ホテルでアフタヌーンティーをしながら友達と話していた。
「もし時間があってお金があって、何も不自由なくて、毎日アフタヌーンティーできる生活が手に入ったらどう思う?退屈で仕方がなくないかな。」
「うーん、今の私がそうなったら、、嬉しくて仕方ないかもしれない。」
「軽井沢には、そういう人たくさんいそうだよね。私思ったけど、人のお金や人の持ち物でいい生活ができたとしても、自分の飢えた心は満たされないと思う。」
「たまたま、なんとなくそういう生活が手に入ってしまった人は、退屈で仕方なくなるかもしれない。でも、努力して、例えば戦略的に玉の輿に乗ってそういう生活を手に入れた人にとっては、それは自尊心を満たすことになるかもしれない。」
by me1t
| 2016-12-04 16:32