2013年 07月 11日
フスタートの破片 |

10年以上前に亡くなった祖父が夢の中ではまだ生きていた。話し方、声が父にそっくりで、祖父がもうすぐ亡くなることは家族皆も祖父自身も分かっていた。
死が訪れるまでの最後の時間を家族皆で過ごして、出掛ける事にした。これが最後かもしれない。私は祖父がもうすぐ亡くなる事に耐えられなくて何か言葉を叫び続けた。戻らない時間をどうにか巻き戻したくて叫んでいた。祖父が亡くなって家族がバラバラになることが分かっていたから。
祖父は一人で大きな商業ビルに行き、リブロでパステルピンクの陶器の表紙の本を買ってきた。それを花とその他の何冊の本と一緒に窓辺に飾っていた。窓の外は海。私の育った長野には海が無い。まるで祭壇のようだった。
by me1t
| 2013-07-11 10:12
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