2012年 11月 15日
my inner rest. |


マッジ・ギル(Madge Gill、1882年-1961年)は、イギリスのアウトサイダー・アーティスト。
私生児として生まれ、幼少期の大半を人里離れた場所で過ごす。9歳の時、孤児院に収容され、後にカナダへ移り農業に従事する。
19歳になり、ロンドンの霊能者である叔母の元で生活する。この叔母がマッジに心霊主義と星占いを教え込む。
25歳になると、株式ブローカーのトーマス・エドウィン・ギルと結婚し、三人の子供をもうけるが、その内の一人をスペイン風邪で亡くす。その翌年、死産を経験したマッジ自身も昏睡状態に陥った。数ヵ月寝たきり生活を送った後、片目を失明する。
回復後、マッジは取り憑かれた様にドローイングに熱を傾け始めた。人目につかない夜ベッドに入り、薄明かりの中、視力ある片目のみで猛然と細かい線を描いた。
マッジは、自分が"Myrninerest"(My Inner Rest=「私の内にある安らぎ」が由来と考えられる)という想像の霊に導かれたという。そして、この霊の名前が作中にしばしばサインされている。
「複雑な模様の衣装をまとった若い女性」というモチーフが殆どの作品に用いられており、この女性はマッジがスペイン風邪でなくした子供を表していると考えられている。
展示会を開く事は滅多になく、また"Myrninerest"霊の怒りを買う事のないようにと、作品を売りに出すことはなかった。マッジの長男が1958年に死亡してからは、酒に溺れるようになり、絵を描く事もなくなった。
by me1t
| 2012-11-15 00:42
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